藤原宮跡(ふじわらきゅうせき)の季節の花
藤原宮跡は藤原京の中心施設である藤原宮のあったところで、広々とした遺跡の敷地内には人々の憩いの場として、5つの花ゾーンで季節の花を見ることができます。
今回は、藤原京跡で鑑賞できる季節の花をご紹介いたします。
藤原宮跡の花 春ゾーン
藤原宮跡の桜
日本人が”花を愛でる”と言えば、一番に思い浮かべるのは桜ではないでしょうか。国内で目にする桜は中国・朝鮮半島から伝来したものと、もともと日本国土に自生する固有種があると言われています。固有種については数百万年前から自生していたことが確認されているそうです。有名な品種<ソメイヨシノ>は江戸時代に品種改良が行われ、その植樹が進んだことで、春になると気温に合わせて日本列島をサクラ前線が北へと駆け上がる現象を生み出しました。
桜の品種について、管理の橿原市に確認したところ、植樹されたのがもう数十年前なので確かな事は言えないとのことでした。
藤原宮跡の菜の花
菜の花は、小学校に入るとすぐに生活科で習う、とても親しみ深い花です。また昔の人が菜の花を詠んだ俳句はいまでも現代の人たちに愛されています。
*菜の花や月は東に日は西に 与謝蕪村
*菜の花の中を浅間のけぶり哉 小林一茶
ところが、実は自生しているものも含め、当時の俳句に詠まれた菜の花と、今の時代に見られる菜の花とでは品種が違ってきているようです。弥生時代からあった在来なたねは、地中海沿岸から中央アジア高原地帯原産で中国を経由して日本に入ったそうです。
現在馴染みのある菜の花は洋種ナタネと言われ、北ヨーロッパから中央アジア高原地域をわたり、キャベツの種類と自然交雑により生まれたものが、明治時代に日本に入ってきたそうです。そして繁殖力の強い洋種ナタネが広かったために、在来ナタネは日本の風景からは姿を消し、ほとんど見られなくなりました。
藤原宮跡の花 夏ゾーン
藤原宮跡のキバナコスモス
秋のコスモスの前に、キバナコスモスという品種の鑑賞ができるようです。コスモスとついていますが、開花時期は夏になります。花の色は名前から想像するよりも濃いオレンジ色で、馴染みあるコスモスよりも葉が太くしっかりしています。キバナコスモスは夏ゾーンのほかに朝堂院東ゾーンで鑑賞できるそうです。
藤原宮跡の花 秋ゾーン
藤原宮跡のコスモス
「秋桜」と表現され、日本の秋に彩りを与えてくれるとても可愛らしい花です。儚げな姿で風にゆられていますが、生命力はとても強いことで知られています。
熱帯アメリカ原産で、メキシコからスペインに渡り名前が付きました。花弁が整然とバランスよく並んでいることから、スペインの聖職者がギリシャ語で「秩序」「調和」「美しい」の意味を持つ「コスモス」と名付けたと言われています。日本へはイタリア人教師により明治時代に持ち込まれたという文献が多いですが、幕末にはすでに入っていたとされる記載もあり今のところ詳細は不確かです。コスモスはヒマワリのように向日性を持ち、花が咲き始めてから枯れるまでの一定期間、太陽を追いかける動きが見られます。こちらの写真も南側から撮影したので、きれいに花の顔が揃っています。
藤原宮跡の花 蓮ゾーン
蓮ゾーンは大極殿跡南東方向にあり、面積は約3000平方メートルです。唐招提寺蓮など11種類を植栽しています。見頃には、花が開く早朝から、見学に来られる方もたくさんおられます。
藤原京跡の花ハス
3000平方メートル(1辺55m正方形の面積に相当)に渡り広がる蓮池で、11種類の花蓮が植栽されており、夏(7月下旬?8月中旬ごろ)の早朝には大きな美しい花を開花させます。
日本での蓮の歴史は古く9000万年前〜3800万年前のものと想定される化石が国内で発見されています。日本に深く根付いた仏教においても象徴の花とされ、大切に扱われてきました。
木製の船に乗って蓮の花を切り献花するまでの一連を「蓮取り」と呼び、奈良地方では今でも祭事として厳かに行われている地域もあります。ちなみに”蓮の花が咲くときにポンっと音が鳴る”という言い伝えは俗説だそうで、まだ証明はされていないそうです。
藤原宮跡の花 朝堂院東ゾーン
朝堂院東ゾーンでは、菜の花やキバナコスモス、コスモスなど春から秋までの季節の花が植栽されているそうです。
藤原京(ふじわらきょう)について
藤原京は奈良県橿原市にある日本最古の都です。今から1300年以上前に、中国伝来である碁盤の目状の都市計画(条坊制)が採用された、日本最初の本格的都城です。藤原京の大きさは南北約4.8?、東西約5.2?と非常に広く、碁盤の目に区切られた都には多くの寺院や役所、市場や住宅が計画的に配置されていました。
藤原京の場所
所在地
〒634-0031 奈良県橿原市飛騨町
最寄駅
近鉄橿原線 畝傍御陵前駅 より徒歩20分
終わりに
こちらの記事は、奈良県在住の(般)Flower Works Japan会員水島妙美さんが執筆しました。住んでいるからこそ知っているその土地の魅力が記事になりました。
花紀行?花手水?あじさい寺 柳谷観音 楊谷寺(京都府長岡京市)【花の名所】
FWJ神戸鈴蘭台校”Atelier June”を主宰しています。
現在は神戸市 鈴蘭台のアトリエにて、フレッシュフラワー(生花)に加え、プリザーブドフラワーアレンジメントのレッスンも開講。
2014年4月からは一般社団法人Flower Works Japan認定校としてイギリススタイルフレッシュフラワーとプリザーブドフラワーの資格コースを開講しています。
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