5月、バラが最も美しく咲き誇る季節です。
バラは育てられ、アレンジしディスプレイされるほかに、食器や雑貨、絵画など、様々なシーンで目にすることが一番多い植物ではないでしょうか。
イギリスの食器ブランドといえば、真っ先に”ウェッジウッド(Wedgwood)”が出てきます。つい先日(2017年4月)、「ベルローズ(Bell Rose)」というデザインの食器がリリースされました。バラとエリシマムのライン状のデザインは、イングリッシュガーデンをイメージされたらしく、とても素朴で可愛いカントリー調です。
一方、「ローズゴールド(Rose Gold)」というデザインは、バラとともにクレマチスや朝顔などとともに多色で彩られていて、とても華やかなエレガントさと優しい雰囲気を合わせ持っています。2012年7月にリリースされましたが、18世紀のアーカイブモチーフをもとにデザインされたそうです。
18世紀にイギリス貴族の女性向けの社交の場として流行りだしたというアフタヌーンティーの習慣。バラの咲く庭園で、優雅にティータイムを楽しんでいる姿が目に浮かびます。
ちなみにイングリッシュローズのデヴィッド・オースティン社からは、ウェッジウッド250周年を記念して「ウェッジウッド」と命名されたつるバラの品種が出ています。ウェッジウッドといえばペールブルーをイメージしますが、こちらは淡いピンクです。 バラのデザインがされた食器といえば、ヘレンドとアウガルテンがでてきます。「ウィーンのバラ(Vieille Rose)」と名付けられたデザインはあまりにも有名です。丸みを帯びたオールドローズのモチーフ。赤いバラは、18世紀栄華を極めたハプスブルク家御用達のバラだったそうです。
2つのブランドのデザインが酷似しているのは、アウガルテンの窯が一時閉鎖されるときに、その型やデザインをヘレンドが継承したからだそうです。
見分け方は、バラの葉の形が一番わかりやすいです。アウガルテンのバラの葉には、葉脈が描かれています。ヘレンドの葉の形は少し複雑なスタイルです。またアウガルテンには、ウィーンのバラ以前のデザインに「オールドウィンナーローズ(Old Viennese Rose)」があり、バラの蕾が描かれています。
ヘレンドもアウガルテンも、大手の百貨店の食器売場には必ずあるブランドです。もし機会があれば、2つのバラの違いを見つけてみてくださいね。
マイセン、リチャード・ジノリ、ナルミ、など数多くのブランドからバラをモチーフにされたデザインの食器がたくさんあります。大輪で優美であったり、小花が上品で楚々としていたり、多色に彩られたり、インパクトの強いものであったり、デザインされるバラは様々です。その時代・社会情勢によるのかもしれません。しかし、18世紀ロココ時代のアンティークから現代にいたるまで、植物柄、特にバラのモチーフは一番人気のようです。
私たちがアレンジで好んでバラを選ぶように、デザイナーたちも魅力的なバラを描かずにはいられなかったのでしょう。
レッスンの後のティータイムは、私にとっては至福の時間です。
出来上がったアレンジと、ほっと安らぐ時間。
イギリス風のエレガントなティータイムもたまには演出できるように、とっておきのカップを見つけたいな、と思っています。
FWJ西宮香櫨園校”Atelier Cheer”を主宰しています。
フラワーアレンジメントが、暮らしを彩る身近なツールであること、お花のある空間があることのよろこび、お花に触れる時の楽しみを伝えていきたいと思っています。
COMMENT ON FACEBOOK