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これでよくわかる!ワイルドローズとオールドローズの分類

これでよくわかる!ワイルドローズとオールドローズの分類

イギリススタイルのフラワーアレンジメントやイングリッシュガーデンに欠かせないバラ
「花の女王」とも呼ばれるバラですが、その歴史はとても古く、たくさんの種類があります。
今回は、バラの誕生や野生種のワイルドローズ、また初期の園芸品種であるオールドローズについてお伝えしようと思います。

ワイルドローズとオールドローズ ?バラの分類??

バラの起源

バラ(バラ科バラ属)が誕生したのは、諸説ありますが、7,000万年前から3,000年前と言われています。
7,000万年は白亜紀、つまり恐竜の時代にバラが誕生していたのかもしれません。
また、近縁野生種の分布や遺伝的な変異の状況から、ヒマラヤ山脈の麓や渓谷あたりが、バラの発祥の地と考えられています。
兵庫県明石市でも400万年前のバラの葉の化石が発見されています。

野生種―ワイルドローズとは―

人工交配などされずに、自生地に自然のまま存在するものを野生種(自生種)といいます。
植物園などの樹名板には分類記号「Sp(スピーシーズ)」と表記されています。

バラの野生種は「ワイルドローズ」とも呼ばれ、北半球に広く分布しており約200種類存在します。
その地域の環境にあった形態と性質を持っており、日本にも10数種類のワイルドローズがあります。

沖縄以外の日本の山野に多く自生する「ノイバラ(ノバラ)」や「テリハノイバラ」もワイルドローズです。
ヨーロッパのワイルドローズ「ロサ・カニナ(Rosa canina)」や「アップルローズ(Rosa pomifera)」は、花が終わった後のローズヒップが特徴的で現在も人気の種類です。

園芸品種の誕生に関わったワイルドローズ―原種―

ワイルドローズの中で、現在の園芸品種誕生にかかわった種類を「原種」と呼びます。
原種はたった13種(鈴木省三)とも8種(米・シェファード)とも言われています。
その中の3つはなんと日本のワイルドローズです!

表の種類の他にダマスクローズ、ティーローズ(Rosa odorata)が原種とする説もあります

オールドローズ

長い歴史の中で、原種から自然交配や品種改良され、様々な種類のバラが誕生しました。
オールドローズとは、クラッシクな花姿と芳香を持つバラで、1867年にフランスの育種家ギョーによって作出されたハイブリットティーローズの「ラ・フランス」が生まれたころまでに誕生したバラの総称です。
1867年以降に育成された品種でも、オールドローズの系統に含まれる品種はオールドローズとされます。

オールドローズの系統

オールドローズの特徴

オールドローズは系統によって様々な特徴があります。

アルバ(A)

ロサ・アルバ(Rosa×alba)をもとに育成された系統。
白からソフトピンクのやわらかな花びらの質感が美しい。
自立する半つる性で生命力が強く、日当たりの悪いところでも栽培できる。

ブルボン(B)

1817年アフリカのブルボン島(レユニオン島)で秋も咲くバラが発見されたのを機に、ヨーロッパのオールドローズと中国のコウシンバラを繰り返し交配され生まれた系統。
ライトピンクからダークピンクまで幅広い花色があり、カップ咲きが多く人気が高い。
大輪多花性の四季咲きで、濃厚かつすっきりとした心地よい香りがする。
主に半つる性?つる性で、とても誘引しやすいので、初心者でも育てやすい。

4ケンティフォリア(C)

ロサ・ケンティフォリア(Rosa centifolia)をもとに育成された系統。
キャベツの葉が巻いたように花びらが多いため「キャベッジローズ」、日本では「百弁バラ」とも呼ばれる。
また、香りの女王として香料に使われるため「プロヴァンスローズ」の別名もある。

チャイナ(Ch)、ハイブリッド・チャイナ(HCh)

中国の野生種のコウシンバラ(Rosa chinensis)とロサ・ギガンテア(Rosa gigantea)から成立した系統。
ハイブリッド・チャイナはチャイナ、ノワゼットやブルボンにガリカやダマスクなどを交配して生まれた。
モダンローズのハイブリッド・ティーの片親となった重要な品種。
主に木立性で完全四季咲きが多い。

ダマスク(D)

香料用に栽培されたダマスク・ローズ(Rosa damascena)の系統。
半つる性で基本的に温暖な気候を好む。
やわらかな質感の花びらで、ソフトピンクからウォームピンクの花色。
この種の香りはダマスク香と呼ばれ、バラの香りの代表とされる。

ガリカ(G)、ハイブリッド・ガリカ(HGal)

ロサ・ガリカ(Rosa gallica)をもとにヨーロッパで育成された系統。
古代ローマ時代に現在のフランス一帯をガリアと呼んでいたことが由来で、「フレンチローズ」とも呼ばれる。
コンパクトな半つる性で、耐寒性がある。
花色はソフトピンクからローズレッドまであり、濃い花色が特徴的。
芳香種がほとんどであり、香料や薬用に使われていた。

ハイブリッド・ムルティフローラ(HMult)

ノイバラ(Rosa multiflora)を交配親にした系統。
房咲きで半つる性からつる性。
モダンローズのハイブリッド・ウィクラナ(HWich)と共に「ランブラーローズ(R)」とも呼ばれる。
花色は多彩で色調に富み、環境適応能力が高い。

ハイブリッド・パーペチュアル(HP)

ハイブリッド・チャイナにポーランドやブルボンが交雑された系統。
19世紀半ばから作出され、モダンローズのハイブリッド・ティーを生み出した交配種の1つ。
樹性は多様で、多彩な花色の大輪系。
モダンローズの前、オールドローズの最終として多くの品種が作り出された。

モス(M)

ケンティフォリア系の突然変異によって生み出された系統。
枝に苔(=モス)のような細かい毛が密生しているのが特徴で「モスローズ」と言われる。
開花時にこの苔が絶妙に香りを引き立たせる。

ノワゼット(N)

ロサ・モスカータ(Rosa moschata)とコウシンバラの交雑種を基本にティーローズを交雑した系統。
半つる性からつる性。

ポートランド(P)

ダマスクとチャイナ(ガリカの説もあり)の交雑を繰り返してイギリスで作出された系統。
英国領主のポートランド候婦人の名前を頂いている。
ハイブリッド・パーペチュアル系の前身。
木立性から半つる性で返り咲きの品種が多い。

ティー(T)

ロサ・ギガンテアやチャイナ系が関わって成立した系統。
モダンローズのハイブリッド・ティーの片親となった。
とげが少なく、主にコンパクトな木立性で四季咲き。
さわやかな紅茶の香りが特徴的。

その他

上記の系統以外にも、エアシャー(Ayr)、ブールソール(Bslt)、ハイブリッド・ブラクテアータ(HBc)、
ハイブリッド・エグランテリア(HEg)、ハイブリッド・フォエティダ(HFt)、
ハイブリッド・センペルウィレンス(HSem)、ハイブリッド・セティゲラ(HSet)、
ハイブリッド・スピノシッシマ(HSpn)などをオールドローズの系統とするものもある。

おわりに

関連記事

今回はワイルドローズとオールドローズの種類、特徴についてお伝えしました。
一重だったりキャベツのような花があったりと、ワイルドローズやオールドローズは「バラ」と聞いてイメージする姿・形とは少し違うなと感じられた方も多いと思います。
自然のままのワイルドローズや、自然に近いクラッシクな姿のオールドローズ。
お庭で育てると良いアクセントになってくれます。
植物園やバラ園へ行った際には是非探してみてください。

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