イギリス文学とお花の関係
イギリススタイルのお花が大好きな私ですが、学生の頃は英文学を専攻していました。
英文学には、シェイクスピアのような伝統的な戯曲から、アガサ・クリスティーやアーサー・コナン・ドイルなどのように現代でも映像化される親しみやすい小説などがあります。
その作品の中に、お花がドラマチックに、時には面白く描かれている作品がたくさんあります。
“ミステリーの女王”と呼ばれるアガサ・クリスティーの作品で有名な「名探偵ポアロ」シリーズの一つ、「あなたの庭はどんな庭?(How Does Your Garden Grow?)」の1991年にTVドラマ化された話では、原作にはないオリジナルとして、チェルシーフラワーショーがでてきたり、新種のバラに”ポアロ”という名前を付けられるシーンがあります。
チェルシー・フラワー・ショー(RHS Chelsea Flower Show)とは、イギリス、王立園芸協会(RHS)が主催し、毎年5月にチェルシーで開催されるガーデン・ショー。グレート・スプリング・ショー(the Great Spring Show)の正式名称でも知られる。
チェルシー・フラワー・ショーのハイライトは、有名な園芸家によってデザインされた前衛的なショー・ガーデンである。
引用:Wikipedia
淡いピンクの高芯咲きの素敵なバラ。
お茶目で優しい風合いのポアロにとても似合う色ですが、高芯咲きのフォルムがポアロの鋭い推理を表しているようにも見えました。ポアロと名付けられたバラの蕾を、ポアロは上着の胸ポケットに一輪。お洒落なイギリス紳士そのものです。
イギリスには“アガサ・クリスティーの庭”と呼ばれる庭があるように、彼女自身も庭や緑や田舎を愛していた一人。「引退後は庭いじりをしたいが今は鉢物」というポアロのセリフに、イギリス人の願望がちらっと見えました。
シェイクスピアの作品では、「ロミオとジュリエット」は”花の都ヴェローナ”(イタリア)が舞台。
”おおロミオ・・・”というあまりにも有名なセリフは”バラと呼ばれるあの花は ほかの名前で呼ぼうとも 甘い香りは変わらない”と続きます。
こちらもロマンチックなのですが、私は「真夏の夜の夢」に出てくる惚れ薬の花 ”恋の三色スミレ” にとても惹かれました。
ここ数年、切り花としても多く流通するスミレですが、食用や薬草にされる一方、毒性のある品種もあります。薬にも毒にもなる恋をシェイクスピアはスミレで表現したのでしょうか? 盲目な恋を解く”ダイアナの花”というのもでてきます。
ちなみに、イングリッシュローズを数多く扱うデビッド・オースティン社からは”ウィリアムシェイクスピア2000”という品種が出ています。
深い深紅色で、悲劇から喜劇まで幅広い作品を残したシェイクスピアにぴったりの色合いだと私は感じました。また他に、”オセロ” ”スウィートジュリエット”というシェイクスピアの作品にちなんだ品種もあります。
ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」では、花壇に植えられた花々が人の言葉を話します!デイジー、オニユリ、バラ、スミレなどが登場するのですが、美しい花姿とは裏腹になかなかシュールなセリフを話します。
もしも、レッスンの時にお花たちがしゃべり始めたら・・・なんて考えるのも面白いですね。
レッスンや暮らしの中で実際にお花に触れるのは勿論のこと、活字や映像からどのようにお花が使われているかを知るのもまた楽しいものですよ!
FWJ西宮香櫨園校”Atelier Cheer”を主宰しています。
フラワーアレンジメントが、暮らしを彩る身近なツールであること、お花のある空間があることのよろこび、お花に触れる時の楽しみを伝えていきたいと思っています。
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