花に携わるようになってから十数年がたちますが、花農家さんを訪れるのは初めてのことでした。今でこそネットで花農家さんの情報がわかることもありますが、生産者さんに直接お会いして商品としての花がどのように育てられているのかを実際に見る機会はまずありません。
研修で何を得ることができるのか、ワクワクしながらの参加でした。
初めに訪れた森農園さんのカーネーションでは、その丈の高さに参加者はみんな驚きました。カーネーションってこんなに背が高いの!?茎のしなりが欲しいときもあるのに、茎が曲がったカーネーションは廃棄されていたの!?使えるのに!
ブバリア農家さんでは、ハウスの温度を保つための燃料費が大きな負担になっていることも知りました。また新しく導入する苗は2、3年先の流行を見越して仕入れるそうで、ファッション業界のトレンドと同じであることは目からウロコでした。
どちらの農家さんのお話も、とても興味深いもので驚きの連続でした。
印象的だったのは森さんの言葉です。
「母の日などのイベントで一時的に花を大量消費するよりも、個々の暮らしの中にほんの一輪でも花を添えて穏やかな気持ちになってほしい」
“花で気持ちの豊かさを提案する”のは私も同じこと。花の持つ色々な力、例えば元気の源、癒し効果、コミュニケーションの手段などとして、笑顔の連鎖をつくってくれることを私は実感しています。
子どもがまだ幼稚園に通っている頃、私が花を習っているという話題になった時「花買うならコロッケ買うわ」と言われたことがあります。育ち盛りの子供にとっては花ではお腹がふくれないでしょう?花は贅沢品だ。十数年、その言葉でジレンマに陥っていた私。どうして花なのか?その答えを見いだせないままでした。
花の仕事をするようになり、オーダーをくださった方が「アレンジを置くと空間が華やかになり、気持ちが豊かに感じます」という感想をくださいました。ああ、そういうことか!雰囲気では感じていても、”気持ちの豊かさ”という言葉がみつからなかっただけだったのです。
今回、生産者である森さんから同じ言葉を聞いたとき、ますます「花のある暮らし」を提案していくのはアレンジの作り手である私たちの使命だと感じました。
近年、切り花は輸入品が半分を占めているというデータもありますが、日本ほど様々な花の品種改良が進んでいる国はないのではないかと思います。また最後に訪れた浦共撰さんのように、生産者に若手が携わっているというのも伺え、とても心強く思いました。私も含め、花で仕事ができる平和な国で暮らせているのです。
今回、日々、上質な商品としての花を育てている花農家さんの実状と思いを直接知ることができ、また生産者側と消費者側がお互いのニーズを共有しあったことはとても有意義なことであったと思います。
そして、生産者と消費者の間を取り持ってくださった仕入れ先様の株式会社西日本フラワー様、スコッチ様には大変感謝いたします。
今回の研修で得た情報、感じたことなどを念頭に置きながら、花で幸せを感じる人たちが益々増えるように、今後も前向きに活動していきたいと思いました。
FWJ西宮香櫨園校”Atelier Cheer”を主宰しています。
フラワーアレンジメントが、暮らしを彩る身近なツールであること、お花のある空間があることのよろこび、お花に触れる時の楽しみを伝えていきたいと思っています。
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